PATEK PHILIPPE (パテックフィリップ)Aquanaut(アクアノート)/5167A-001(15847)/ガルーシャストラップ(時計ベルト)/コバ(切り目)本磨き/裏地ラバー/フルオーダーメイド・ビスポーク

その他情報

先日完成したアクアノート×ガルーシャストラップです。

下記画像は加工完成後にガルーシャストラップを取り付け撮影。

下記画像はフルブリッヂに入庫された(純正ラバーストラップが付いた)時の写真。

先ずはこのパテックフィリップスポーツモデルのアクアノートについて少し語りたいと思います。

余談ですが、時計に詳しくない女友達にいくらするかアクアノートの写真を見せて聞いたら

『3万円くらい?』と言っていました。分からない人にはシンプルでベルトがラバーなのでそう見えるのかもですね。時計好きには面白いネタ?になるのかもしれません笑。

パテックフィリップは1839年5月1日に2人のポーランド人のアントニ・パテックとフランチシェック・チャペックによって創業。スイスのジュネーブで設立。創業当時から「芸術 作品」の追求に余念がなく、クオリティも常に最高級を指標し続けているマニュファクチュール(自社一貫 生産)ブランドです。

パテックフィリップスポーツモデル モデル名「アクアノート」

1997年代に誕生した新世代コレクション、アクアノート。アクアノートは正規店や例え美品中古でさえもなかなか入手が難しいプレミアムモデルです。思ったよりとても軽くシンプルで全てが美しくずっと観てても飽きない世界三大時計マニュファクチュールブランドのスポーティさとエレガントさの2面性を持つ、普段使いが出来る機械式高級スポーツウォッチです。今ではラバーストラップを付けた機械式高級時計のモデルは多くありますが、これはラバーストラップを付けた先駆けの高級スポーツウォッチのモデルと言えるでしょう。

パテックフィリップはアメリカのティファニーに懐中時計の供給をしていた事も有名ですね。パテックフィリップは世界最高峰の「工芸品」としての時計を生産する時計界の頂点と言えるでしょう。非常に歴史も深く、パテックフィリップは低価格帯の中古品でもゆうに車一台買えるような高値で取引され続けています。

全てのモデルが非常に人気が高く入手困難である為、プレミアムがついて販売されていたりするケースが多く、投資用(時計好きな投資家も含め)として考えている人も少なくはないと思います。

パテックフィリップは2世紀以上も続く中で、「自社製品であれば永久的に修理する」と明言しているのです。実際「親から子へ」を継承出来るブランドコンセプトからもその姿勢が並大抵のものではないことが伝わります。だからこそパテックフィリップが「一生もの」であり、100年後も「家宝」と言える存在なのだと感じ取れます。

保証期間の通常2年間が過ぎたパテックフィリップについては有料修理であり、オリジナル部品を長期保持保証するものではなく、オリジナル部品の在庫がなくなった時はオリジナル部品を使った修復ではなく、製造可能な代替部品を使っての修理メンテナンスとなる。その場合、必要な代替部品を新たに製造や加工するコストは個々のユーザー負担となり、その時は時計の購入価格を大きく超える修理代金を請求されるケースがあります。

また、パテック・フィリップはオークションで古い自社時計を高値で買い戻すことによって、「パテック・フィリップの時計の中古市場価値を保たせる」というビジネス戦略をとっています。その結果「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージの宣伝にも役立っています。

よく経営者は良い時計をしている(する)と言いますが、それは長いブランド経緯、一言では言い表せないですが、例えば創業130年250年を超える中、今なお他社資本の参入を1度も許さず、創業家経営(独立企業)を貫く珍しいブランドがパテックフィリップ、オーディマピゲ。そしてパテックフィリップ、オーディマピゲも同様、時代や世代を超越して長い間人々を魅了し続けられる唯一無二の傑作であることが、世界の経営者たちの購買力に関係しているのだと、そう私は感じます。

巨大資本を元に時計メーカーは次々と買収されていき、各グループの傘下に入っていきました。

高級時計業界はグループ対グループの競争へと変わってきているのです。有名なグループとして挙げられるのは「スウォッチグループ」「リシュモングループ」「LVMHグループ」です。

買収というとあまり聞こえはよくありませんが、各時計メーカーは海外巨大資本の傘下に入ることで、安定した基盤の中で時計製造を行うことが可能となるメリットがあります。今や高級腕時計は巨大資本無しに生き残ることが難しい世界になっているのだと思います。

極限にシンプルにしたフェイス。私も時計が好きなので、遊びで休憩がてらデザインしたりしますが、こういったシンプルなフェイスは初めにデザインを考えるベースとして、参考にしたいと思います。やっぱりアクアノートの良い所は、全くオラオラした感じもなく、知的で少し控えめなところがとてもロングコンセプトで魅力的です。カジュアルにもスーツスタイルにもドレス(フォーマル)な場にも決して見劣りしないオールマイティであり優秀な機械式時計かと思います。

フェイス面のところはマット調ステンレスで、サイドは鏡面仕上げになっています。

船の舷窓からインスピレーションを得た丸みを帯びた8角形のケース、....

例えば例に挙げるとAPロイヤルオークを丸く創造して薄くして全てのネジを取った様なイメージに感じられます。

そう感じると思った方にここでまた少し語ります。

ノーチラスからインスピレーションを得て創作されたこのアクアノートの元の時計のデザインとなるノーチラスのデザイナーは「ジェラルド・ジェンタ」。
代表作はやっぱりオーデマピゲ(AP)・ロイヤルオーク(1972年発売)ですね。全体的に角ばったデザインで特徴的な八角形のベゼル枠、そして文字盤周りに埋め込まれたビス。シンプルだがゴツいのに針や文字盤が上品な仕上がりでエッジ角のメリハリ感に男心が刺激されます。ちなみにオーデマピゲもパテックフィリップ同様、自社製品であれば永久に修理することを掲げています
時計デザイナーのジェラルド・ジェンタさんは他にも

オメガのシーマスター、

ロレックスのオイスタークォーツ デイトジャスト

カルティエのパシャ

ブルガリのブルガリ・ブルガリ

など有名モデルのデザインを残してきました。
ジェラルド・ジェンタさんは素材やムーブメントで時計を選ぶのではなく「デザインで時計を選ぶ」という方法を市場に定着させたと言ってもよく、1972年を境に腕時計のデザイン(そして考え方)は大きく変わったとも言われます。
※同一デザイナーのためパテック・フィリップのアクアノート/ノーチラス、オーデマ・ピゲ・ロイヤルオーク・オフショアは「八角形」という共通のデザインモチーフを持ち、文字盤だとアクアノート/ロイヤルオークは共通のワッフル(APだと”タペストリー”)状デザインとなっている。

2011年8月、ジェラルド・ジェンタさんは80歳でその生涯を終え、残された多くのハイブランド時計の洗練されたデザインで生き続けていると言えるでしょう。私の人生も少し似た様な思いにそう願っています。

 

裏は美しく仕上げられた自動巻キャリパー機構が良く観察出来る様に、シースルーバックル(裏スケ)になっています。振動を与えると長い間回り、秒針は思っている以上に動き続けるので、本当にパテックの21K製で出来たローターは重く良く回り他社に比べ優秀でスゴいなと思います。

因に部品総数は213パーツ。パワーリザーブは最大45時間(最小で35時間)。

     

左下に刻印されているPを2つ重ねた刻印、PP刻印がパテックフィリップシールです。
以前は高精度を証明するジュネーブシールが刻印されていましたが2009年から独自の精度テストを行い その証明としてPPシールを刻印する事になりました。

ジュネーブシールのパテックフィリップをは希少となってきました。21Kで出来たパテックフィリップは例えケース素材がステンレスモデルでも中身が観ての通りPPシールが付いた機構美学と今までの歴史的技術が詰まっている事から相応の価格となるのだと感じられます。

ベルトのオーダーなので、先ずは純正ラバーベルトを丁寧に外します。

オーダー入庫されたアクアノートが2つ。片方は違うお客様より依頼されたアクアノートのワールドタイム。ワールドタイムの方は金具移植の為、やり方詳細は企業秘密なのですが、かなり試行錯誤しました。分解しテストするにあたり時間が思った以上に経過したのでワールドタイムの方はお客様相談後、今回は返却となり違う時計が入庫しました。でもアクアノートの金具移植はゴールは見えたので今回勉強になりました。アクアノートで金具移植して純正と同じ様なスタイルを希望しているお客様は是非チャレンジさせて頂きたいと思います。

 

  

かなりオーダーストラップの話しからズレましたが、今回のガルーシャストラップを取り付けたアクアノートです。

純正ラバーベルトと比べると全く違う存在感となりました。 

お客様のご希望で時計本体側の4ヶ所に白い糸でステッチを各2周入れました。

硬いガルーシャに綺麗に念(線)を入れ、メリハリ良く高級感も上手く出せたかと思います。

ガルーシャに念は他社ではなかなか難しい事かと思います。 

お客様はよく汗をかくと言う事なので、裏地にはフルブリッヂ別注の時計ベルトに使える様に薄く加工した拘りのラバー(黒のみ)をインストールしました。

サイドはコバ(切り目)本磨きで仕上げました。インクは黒色です。 

今回は特に外装に大きな傷等は見当たらなかったので、磨きなしはしませんでした。お客様のご要望に対しては磨き直しからオーバーホール(分解洗浄)をストラップオーダーの際に行います。
     

もちろんパテックフィリップ純正Dバックルに合う様上手く加工してあります。カチッと閉める際は純正ラバーストラップよりかは(ガルーシャなので馴染むまでは)多少硬く感じるイメージです。

出荷の際は慎重厳重に梱包し出荷準備致します。  

オーダーが上手く重なると有名時計が多く入庫され素敵な1枚が撮れます。     

時間を忘れ、つい何枚も撮影してしまいます。

暗くすると蛍光塗料が綺麗に発光しています。 

ご用命ありがとうございます。