KNOWLEDGE知識

先ずイバラエイ皮革のコンディションが良いかどうかを見極められるかです。

多くは言いませんが、海外も含め販売先(仕入れ先)でもイバラエイ皮革の状態が良いかどうかも理解出来ていないところも多く存在しています。世界レベルでレアなイバラエイは高値で販売されていますが、皮革だけを販売し製作(加工)していないからこそ、どれまでが良くて、どうだとダメなのかも理解出来ていません。こちらからここがダメだからと説明しないと理解してくれない事もあります。でも状態が良いか悪いかを理解しなくても良いと解釈も取れます。状態が良くなくても需要はあるからです。

イバラエイも天然皮革なので個体差があり、写真の様に石は十分に残っている方だが、トゲ(棘)を削った断面のスターマーク(星型)が全体的に少ない。星形のトゲが元々少なかったのだろう。革自体も加工が下手なのか年数が経っていて古いのか分からないが所々脆く、兎に角ファーストインプレッションで存在感がなかった。
例をあげるとキリがないが、このイバラエイは私的に良いと思わなかったので仕入れしなかった。

例えば電話やメール(写真)で販売先から現状を知らされても、良いか悪いかはある程度判断出来ますが、実際に私がじっくり触って細かく確認しないと、どんなコンディションなのかが100%理解納得出来ないので、仕入れする場合はそのイバラエイ皮革を必ず自分の目と手でキチンと確認します。クロコダイルやオーストリッチなどは、業界共通のクラス(1級、2級、3級、4級)に別れているので、直接触って確認しなくても、電話やメールで理解して仕入れ出来るところ(信用出来るところ)はありますが、イバラエイ皮革だけは絶対数が少ないのと高額なところも踏まえ、慎重に直接私がオールチェックしないと仕入れしたくありません。グッドコンディションのイバラエイ素材に巡り会うのは、ブラジル産パライバトルマリンのグッドコンディションに巡り会うのと同じレベルなのかも知れません。

良い革に巡り会うために

美しい石がより多く残っている、お財布を作り(加工)し易い皮革だな、など色々と言える程イバラエイの分母(絶対数)が他の皮革と比べて極端に少ないので、イバラエイを見て触って比べて加工してきた場数と経験値、他社では真似の出来ない加工、より良いモノ作りをしようとする意味での向上心がある美的センスが揃って、やっと区別出来るレベルです。

DIFFICULT PRODUCTSなぜ加工が難しいか

FULLBRIDGEはガルーシャ(通常のエイ)慣れしているので、他社とは違うオリジナルの技法で、R(曲線を作る)面取り加工やエッジ加工、ハンドステッチを綺麗に真っ直ぐ入れる為の前加工、そしてエッジの仕上げなど手間の掛かる工程が多く労を費やしますが、仕上がりは格別で完成したイバラエイの製品を見る度に至極満悦であります。それは機能面も美しく、また全体のサイズ感やバランス、カラーコーディネートも良い製品を作り上げられる様心掛けています。 ※ステッチが真っ直ぐ入れられるので、お好みですがステッチの色を変える事も出来ますのでお薦めしています。

イバラエイ、ガルーシャは何故硬いのか?それは人間の歯や骨と同じ素材のリン酸カルシウムで覆われているからです。

イバラエイのハンドステッチの技法は、他の皮革と比べモノにならない程の労を費やし、困難、手間を費やす加工製作です。これ以上は詳しく言いたくないので、技法の話はここまでとなります。